日中英トライリンガル子育て

日中英トライリンガル子育て

三姉妹。0歳からのゆる〜い日中英トライリンガル育児の記録

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映像翻訳の仕事のこと

ご訪問ありがとうございます。

今回は、日中英トライリンガル子育てをしている私自身の仕事のことについて書きたいと思います。

私の本業は「映像翻訳」です。英語→日本語、中国語→日本語の翻訳が専門です。娘たちに英語と中国語を少しずつ触れさせている理由も、私が単に娘たちと一緒に勉強したいからです。

なので、娘たちには早くペラペラになって欲しいとか、完璧なトライリンガルになって欲しいとは思っておらず、日本語と違う言語があること、外国語を知ることは楽しいことだということを知って世界を広げて欲しいと思っています。それが、我が家が「ゆる~く」トライリンガル子育てをしている理由です。

特に、母国語と同じように言語が習得できるのは幼少期だけと言われていて、「聞く力」は、親がそういう環境を整えてあげないと身につきません。将来、本格的に英語や中国語、その他の言語を学ぶかどうかは、その時娘たちが自分で決めればよいことで、親としてはその選択肢や可能性の幅を増やしてあげるだけです。

私も夫も語学では苦労してきたので、幼少期から少しでも外国語に親しんでおくことは、デメリットがないどころかメリットだらけだと考えています。私自身も、親がもっと幼少期に英語を聞かせておいてくれたらな~なんて思ったこともあります。

前置きが長くなりましたが、以下に「映像翻訳」のことについて書いていきます。「翻訳に興味がある」「翻訳者になりたい」という方の参考になれば幸いです。

 

翻訳の1分野、「映像翻訳」

「翻訳」の仕事には、主に「実務翻訳(産業翻訳・技術翻訳・医療翻訳・特許翻訳など)」「出版翻訳」「映像翻訳」があります。私は大学卒業と同時に実務翻訳からスタートし、今は映像翻訳を本業としています。翻訳歴は2020年現在で16年になります。
それぞれの翻訳の仕事に関する情報はネット上にあふれているので、今回は私の専門分野に絞って記事を書きます。

「映像翻訳」ってどんな仕事?

映画の字幕翻訳で有名な戸田奈津子さんのように「外国語の作品に日本語字幕をつける仕事」と言うとイメージしやすいと思います。ただしそれは数ある映像翻訳の仕事の中のごく一部。映画館で上映される映画に限らず、テレビやネットで配信される映画やドラマ、アニメ、ドキュメンタリー、海外ニュース、または企業のPR動画など、とにかく「映像媒体の外国語を翻訳する」仕事です。

字幕だけでなく吹き替えやボイスオーバーなど、さらに細かく種類が分かれており、働き方も社内翻訳者だったり在宅ワーカーだったりします。フリーランスでも、テレビ局に出向いて現場でニュースなどを翻訳する方もいます。

どうやったらなれる?

フリーランスの「翻訳者」の場合は、一般企業や翻訳会社の社内翻訳者を経て独立する人が多いと思いますが、「映像翻訳」の場合は、他の翻訳と違ってかなり細かい独自のルールがあるので(表記、1秒何文字といったルール、字幕制作ソフトの使い方、スポッティング/ハコ切りのやり方など)、専門の学校で学ぶか、映像翻訳を扱っている翻訳会社に入るのが近道です。

(↑  映像翻訳者を夢見ていた頃によく読んだ本は今でも捨てられず取ってあります。)

 

私の場合は、正社員→派遣社員フリーランス

大学卒業後、翻訳会社に入社

中学・高校と英語は得意科目で、大学時代に短期・長期で留学はしましたが、大学卒業時は就職氷河期だったり、面接試験が苦手だったこともあり就職先がなかなか決まらず、大学卒業間近の3月の新聞広告で求人をしていた地元の翻訳会社に運よく入社することができました。 

正社員として社内で黙々と翻訳をしては社長に赤入れをしてもらう傍ら、外注のフリーランスの先輩翻訳者さんから納品された翻訳をチェックしたりする機会も多く、働きながらお金をもらって勉強させていただいている感覚でした。翻訳の内容は、技術マニュアルや報告書、契約書などの英日翻訳が中心でしたが、自治体の母子手帳の多言語翻訳や、国際結婚の書類の翻訳、さらには結婚指輪に刻むメッセージからハリウッドスターへのファンレターの英訳まで、誰かの人生のお手伝いができた実感が得られるものは特に印象に残っています。  

やりがいのあった職場でしたが、入社5年目の時にリーマンショック(2008年)があり、業務量が激減した時期が30歳手前だったこともあって、自分の将来を悶々と考えるようになります。「もっと翻訳の勉強がしたい」と思い始め、毎週末、東京の翻訳学校に新幹線&夜行バスで通う生活を半年続けました。その時に通ったのはNHKのニュース翻訳をする「ニュースライター」を養成する「国際研修室」という学校。とてもレベルが高くて、毎週、緊張しながら授業を受けたことを覚えています。

国際研修室

上京→通学しながら派遣社員フリーランス

国際研修室に通ったことが、今振り返ると私の人生の大きな分岐点でした。この時、私よりももっと遠方の新潟や兵庫から通学している人たちと出会い、「東京って面白い!東京で働きたい!」と思うようになり、上京を決意したのです。

6年間勤めた翻訳会社を辞め、東京の商社で派遣社員として翻訳の仕事をしながら、国際研修室でニュース翻訳の勉強をする日々。でも思うように力が付かず、挫折を味わいかけていた時に、以前抱いていた「映画の字幕翻訳者になりたい」という気持ちが再燃したのです。そこで、国際研修室での進級をあきらめ、別の映像翻訳学校に申し込みました。

この時私が通った学校は今はもうないのですが、マンションの1室を字幕制作会社兼教室にした塾のような雰囲気のところで、私が受講した時、生徒数は4人でした。ここでの勉強があまりにも楽しく、課題が少なめの学校だったので、「もっと映像翻訳の勉強がしたい!」と、さらに別の映像翻訳学校の通信講座を並行して受講しました。

この2校での勉強が修了した後、さらに大手の映像翻訳学校に1年通いました。結果的に2年間で4つの学校に通ったことは自分でも多いと思いますが、翻訳学校はエージェントの役割も担っているので、卒業時にトライアル試験に合格すれば、登録翻訳者として仕事をもらえることにもつながります。こうして2011年、複数の学校でのトライアル合格を機に、派遣社員として勤めていた会社を辞め、フリーランスの映像翻訳者になりました。

 

【有名な映像翻訳学校】

ワイズ・インフィニティ
JVTA日本映像翻訳アカデミー
映像テクノアカデミア
フェロー・アカデミー

(↑ 字幕翻訳の場合は、字幕制作ソフト「SST G1」を使って作業をしています。)

 

将来性はある?

私はあると思います。「劇場公開の有名作品の字幕・吹き替え翻訳をする」となると非常に狭き門ですが、今は動画のネット配信も増え、コンテンツは増えていると言われています。副業や在宅ワーク向けのクラウドソーシングのサイトでも、最近はYouTubeの動画に字幕を付ける仕事なども見かけます。またアジアやヨーロッパの作品も含めると映像作品はさらに多いので、他の外国語ができる人は強みになると思います。 

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おわりに

中学生の頃から映画が好きだったので「字幕翻訳者」という仕事があることは知っていましたが、雲の上の存在の仕事というか、自分がなれるものだとは思っていませんでした。でもクライアントさんいわく、優秀な「翻訳者」「映像翻訳者」は常に人手不足。将来、翻訳はAIに完全には取って代わられないと個人的には信じてるので、私も日々精進して翻訳の世界で生き残っていきたいと思っています。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。